熊本・川辺川ダム建設は長期的に見て費用対効果で見るべき
川辺川ダムの建設費用対効果が第一
川辺川ダムの建設許可が再開されたとのことです。既に用地確保や調査は終わっているのであとはアーチ式(黒部ダム)で建設するのみです。10年かかります。
建設費は4000億円となっていますが、さらにかかると思います。6000億円は想定すべきです。
費用対効果で見た場合、電力や農水での効果、観光での波及効果、災害で防げた効果額で判断すべきです。
令和2年7月での豪雨で熊本県だけで5500億円でしたので費用対効果はあると考えられます。
これまでの歴史
川辺川は古来から洪水の被害は大きく、深刻に悩まされました。
ダム建設計画は1950年代からありましたが、着工されませんでした。完成目標も事業変更や強固な反対運動が起こったため、建設は進みませんでした。ダム事業への補償案などで揉めており、かつての八ッ場ダムもそうでした(2020年に完成)。
そして2009年民主党政権への政権交代が起こると仕分けとして計画が凍結されました。そして約10年凍結が続き、現在に至ります。
しかし2020年11月20日、熊本県知事が建設許可を出しました。要因としては2020年7月豪雨での水害がきっかけでした。
今回は川辺川ダムについて書いていきます。
水害効果はあったのか?
九地整は今回の検証で、ダムが貯水した量を5700万トンと試算し、緊急放流の必要はなかったと判断。
ピーク流量は、球磨川流域にある一武地は、川辺川ダムの下流ではなく、川辺川との合流点の手前にあるためダムの効果はなく、他の4地点では毎秒2千トンから2600トンの流量を低減させる効果があったと報告がありました。
水位は5地点とも低下して、水位差は川辺川流域の柳瀬地点で約2.1m、市街地のある人吉地点で約2.4m~1.7mメートル、下流部の横石地点で約60センチと推定されました。
結論からいうと効果はそれなりにありました。八代や人吉などの熊本南部地域の水害被害を減らすためにはあってもいいと思いますね。
水資源や農業、観光、発電に役立つか?
川辺川ダムの建設予定地は、球磨川の最大支流、川辺川の上流部にあります。洪水調節のほか農業用水や発電用水の確保なども含まれ、洪水調節用の容量は8400万トンとされています。
人口減少しているからいらないとの声はありますが、川辺川ダムの影響を受ける地域のうち、
八代市の人口は12.4万人、人吉市は3.1万人、その他自治体含めると6.5万人で計22万人の人が川辺川ダムの影響を受けることになります。
発電についてですが、年間可能発電量は85000mwh で人吉と球磨地域の約60%分賄えるとのことです。完成すれば九州電力の0.12%は賄えます。脱炭素に向けてならあってもいいかもしれません。
川辺川ダム建設以前に建設予定地域災害リスクが高い地域のため、避難経路確保と高台移転させる議論をすべき
そもそも一帯地域は最悪水深が10~20mに達するとされています。令和2年7月豪雨では水深最大9mでした。ダムがあったとしても完全には防ぎきれず、ゼロリスクはありません。
今後地球温暖化の影響で水害被害は増大すると考えられます。ダムは一定の効果はありますが、最悪の自体に備えて建物の高台移転と避難経路、避難地域の確保に動くべきですね。