東京23区と大阪4区それぞれの特別区独自の権限と財源の違い~大阪都構想住民投票
2020年11月1日に大阪都構想の是非を問う住民投票が行われます。今の大阪市を4つの特別区に分けることに賛成か反対かということです。可決されたら2024年に大阪市が廃止されて大阪特別区となります。
一見東京23区と同じように見えますが、権限などを見ると東京23区とは違います。東京23区より大阪4区の方が権限は大きいようですね。
今回は東京特別区と可決されると実現する大阪特別区の違いに触れていきます。
解説:中核市(人口20~60万人の市)
政令指定都市(人口60万人以上の市)
中核市や政令指定都市に昇格すると市役 所だけで独自に政策を実行できる権限が ある。ただ持ちすぎると都道府県と同じ 権限を持つ二重行政が生まれ、対立する と行政が停滞することもあり。
一般市並みの権限、広域的にすべき部分は東京23区も大阪4区も同じ
東京23区は小中学校に関すること、ゴミの処理、戸籍、母子手帳など一般の市役所と同じ権限を持っています。
またそれぞれの区に独自の議会を持つことができ、区長は選挙で選べます。政令指定都市では区ごとの選挙ができないですね。
中核市になると持てる権限として保健所の設置や飲食営業の許可があります。これらくらいは特別区独自に権限があります。
一方水道事業や消防救急など広域地域で行われたほうが効果がある事業は東京都(可決したら大阪府)が権限を持ちます。というか将来的には市単独ではなく多くの市町村が連携してやると思います。既に一部自治体では水道事業の広域化を進めています。
ここまでは東京23区と大阪4区の権限は同じです。
東京特別区独自に持てない権限が大阪特別区では独自に持てる権限の一覧
中核市規模権限
結論を言えば大阪特別区はほぼすべて中核と同等の権限を持てるようになります。これは東京特別区にはないことです。
具体的には保育・子ども園・老人ホームなどの認可や監督、廃棄物関連、市街開発の認可が上げられます。大阪特別区それぞれの人口は50~70万人くらいなので東京23区と比べたら妥当と言えば妥当です。
例外としては開発審査会の部分だけです。
政令指定都市並みの権限
政令指定都市並みの権限が大阪特別区独自にできる権限が与えられる分野があります。
子供、福祉、教育、環境の分野は全面的に権限が与えられます。具体的に児童や障がい者の相談所、遺跡や博物館、地下水の採取の認可が大阪4区に与えられます。
一方で特定毒物の製造許可、精神障がい者の入院措置は大阪府の権限となります。また都市計画の分野では政令指定都市としての権限がすべて取り上げられます。理由はのちのち後述します。
大阪府の権限が大阪特別区に移るもの
大阪都構想が可決されて施行されると、認定こども園の認定、私立保育園の認可、公害被害者に対する給付は大阪府ではなく、大阪特別区が行うようになります。
権限を大阪府から移す言うことは維新の地方分権政策の一環かと思いますね。
都市計画に関しての権限が大阪特別区にあまり与えられない理由とは?
話を戻しますが、都市計画に関しての分野は大阪府が完全に握るのか?
理由としては大阪府と大阪市が都市計画で同等の権限を持ったがために1990~2000年代に無駄な箱ものが作られた過去があり、二度と繰り返したくないからだと推測します。
要は大阪府と大阪市でどちらがよりよい建物を作れるか争いになってしまい、費用対効果を無視したものが作られてしまったということです。
これにより大阪府・大阪市は借金を抱えることとなりました。今では地道な返済で総額は減ってはいます。完済まではあと30年後くらいでしょう。
東京23区と大阪4区の財源割合
東京23区は税収の約半分はそれぞれの区で、残り半分は東京都の財源になります。
大阪4区では大阪市民の納めている税金の2割は大阪特別区、6割が再配分してそれぞれの区に、2割は大阪府に流れます。大阪府に流れる分は元々大阪市が持ってた権限の分を使うため財源の使い道自体は変わりません。
区独自の財源確保は東京23区が優れています。ただ最終的に流れる額は大阪4区の方が優れています。
まとめ
今回は都構想賛成反対の立場をとらず、中立の立場として書きました。
賛否は別として大阪4区に与えられる予定になっている権限を東京23区にも与えるかどうかを議論してもいいのではと思います。
東京23区は特別区それぞれ人口が多いわりにあまり権限が与えられていないのが実情です。これを気に東京特別区のあり方を見直してもいいかもしれません。