(立憲・枝野幸男代表の著書) #枝野ビジョン が掲げる給付付き税額控除(負の所得税?)の解説と財源論
(立憲・枝野幸男代表の著書)枝野ビジョンが掲げる給付付き税額控除(負の所得税?)の解説と財源論
立憲民主党の創設者であり、代表である枝野幸男氏は著書に「枝野ビジョン」を出版しました。枝野の著書には消費税減税や廃止よりも低所得者への給付を主張しています。
給付額については「健康で文化的な最低限度の生活ができる額の10%分給付」するとのことです。財源については所得税増税や累進課税とありますが、具体性については触れていません。
果たして枝野幸男が主張する給付付き税額控除(負の取得税も?)を行うとどのような予測になるのでしょうか?
健康で文化的な最低限度の生活ができる額はどのくらいか?必要な財源額は?
最低生計費試算調査によると、男女や年齢、地域差はありますが、1人月25万円・年間300万円が健康で文化的な最低限度の生活ができる額として必要とのことです。もちろん税や保険料負担込みですので、負担が増えるとその分必要な支出が増えます。
夫婦暮らしでは年間400万円、小学生と幼稚園児が各1人の家庭では年間500万円、中学生と小学生が各1人の家庭では年間620万円、高校生と大学生が各1人ずついる家庭では年間720万円必要との試算が出ております。
世帯数や人口などを考慮して全員がこれら生活を実現できるか試算したところ、年間236~240兆円が必要となります。枝野ビジョンではその10%を所得税課税で賄うため、年間23.6~24兆円必要となります。
枝野ビジョンが掲げる給付付き税額控除は低所得者世帯で最大消費税27%減税効果あり
低所得世帯だけでなく、中間層にも実質的な消費税減税効果があります。
まず、消費税は世帯年収200万円以下の場合、平均で年間11万円の消費税を負担しています。1人世帯の場合は消費税27%分の減税という感じです。もちろん中間層にも恩恵を受け、人数と所得税増税次第ですが、実質的には消費税減税効果を受けます。
財源論について
立憲の枝野幸男代表は所得税を活用しての増税で約24兆円必要となります。高所得者中心での累進課税強化を掲げている一方で、支えあいという理由で低所得者(消費税とか)への課税を否定していません。困ったときはお互い様という感じですね。
世帯数5500万で総所得は300兆円となります。一律8%前後の課税が必要となります。
累進課税(年300万円以上に課税)案
この試算は最低限度に必要な年収300万円分には課税せず、新たに300万円より多い分に累進課税させる案です。
給付については、例えば年収400万円の人は新たに10万円課税するとしたら、年収1000万円の人は新たに97万円課税する計算となります。(給付額含めたらモデル次第では負担減少)
累進課税で行うと(一律なら年300万円以上分に15%課税)
年収300万円以上総額160.53兆円
10%5.94兆円
年収500万円以上総額101.13兆円
13%4.99兆円
年収700万円以上総額62.78兆円
17%5.13兆円
年収1000万円以上総額32.58兆円
22%4.81兆円
年収2000万円以上総額10.75兆円
28%3.01兆円
合計23.88兆円
となります。
負の所得税案と一律課税比較
年間30万円給付を条件に一律課税15%と累進課税した比較すると
世帯年収150万円の場合
一律課税→180万円
累進課税→180万円
負の所得税→168万円
世帯年収300万円の場合
一律課税→330万円
累進課税→330万円
負の所得税→306万円
世帯年収500万円の場合
一律課税→500万円
累進課税→510万円
負の所得税→490万円
世帯年収700万円の場合
一律課税→640万円
累進課税→684万円
負の所得税→664万円
世帯年収1000万円の場合
一律課税→895万円
累進課税→903万円
負の所得税→964万円
世帯年収2000万円の場合
一律課税→1750万円
累進課税→1713万円
負の所得税→1840万円
世帯年収5000万円の場合
一律課税→4325万円
累進課税→3873万円
負の所得税→4600万円
という感じです。
高所得世帯ほど負の所得税が有利で累進や一律課税は低所得世帯ほど有利の傾向です。
適切な改善案
以上のことから、極端に累進課税しても低所得者に負担を増やしても適切だとは言えません。枝野本人も「幅広い世帯に納得できるような税制にしないといけない」とのことでそれぞれミックスした案になるのではと思います。
立憲は「支え合う税制と所得税の累進強化」を掲げていますからね。
案としては
~年300万分4%(5.6兆円)
年300~700万分8%(8兆円)
年700~1000万分12%(3.6兆円)
年1000~2000万分16%(3.5兆円)
年2000万分~20%(3.5兆円)
合計財源確保額(24.2兆円)
という累進課税方式を導入して再分配すべきだと考えます。
この政策を行うと、(年30万円給付の場合)
手取り金額は
世帯年収150万円の場合
総計174万円
世帯年収300万円の場合
総計318万円
世帯年収500万円の場合
総計502万円
世帯年収700万円の場合
総計682万円
世帯年収1000万円の場合16 32 36 160 600
総計946万円
世帯年収2000万円の場合
総計1784万円
世帯年収5000万円の場合
総計4184万円
となります。
幅広い世帯に共感を得るためかつ、税率負担の公平性を考えると、これがベストだと推測します。