2040年までの社会保障での負担と削減のシナリオ
2040年の社会保障
20年後には社会保障の予算は今より70兆円増えて190兆円になる予測です。理論上経済成長すれば保険料負担軽減などされますが、今のままの経済規模だった場合を試算しようと思います。
自民案・民主案・維新案・幸福実現党案の4つに分けて試算してみます。
自民党政権が続いた場合
自民党は2030年まで消費税増税しないと言っています。しかし政権交代が起きなくてもどっちにしろ増税されるのは確実でしょう。国債発行も抑制はするでしょう。
しかし、単に消費税増税はしないので2019年の教育無償みたいになんらかを中途半端に充実させて賛成する手口は使いそうです。
恐らくアメとムチのアメは
- 消費税分を授業料無償化
- 軽減税率の8%据え置き
- 給付型奨学金導入(財源は消費税)
- 妊婦手当など充実(財源は消費税)
で増税賛成に誘導するでしょう。
逆にムチの部分は
- 消費税は20%に増税(軽減税率8%維持込み)で22兆円
- マクロ経済スライド発動で年金7兆円カット
- 医療介護の窓口負担原則3割(75歳以上非課税所得者は2割)14兆円カット
- 年金受給水準を68歳まで引き上げ
- 医療保険料負担が10%→15%(11兆円)
- 介護保険料負担を1.75%→3%(6兆円)
- 生活保護の見直しや医療介護の保険適用外を増やす
自民党が政権を維持すれば社会保障は大幅カットと社会保険料率35%、消費税20%は避けられないでしょう。
自民党の関係者は優秀なので、消費税を中途半端な社会保障充実のメニューを出して賛成に誘導するでしょう。
仮に増税されたとしても、国民の半数以上が増税後の税率維持賛成が多数になるのは目に見えていますからね。
民主党系には野田佳彦前首相のように「命をかけてでも消費税増税」をしたり、中には10%以上の増税に賛成している議員がいます。彼らは社会保障維持と同時に国債発行抑制の立場が多いでしょう。
ここでは増える社会保障費を全額増税か保険料値上げ、国債発行ゼロの時の試算をします。軽減税率は給付付き税額控除として使い、国債30兆円+増額分70兆円を税金保険料で賄うとしたら...
アメとムチのアメは
逆にムチの部分は
民主系支持者の中には北欧の高福祉高負担を主張している人がいます。今の日本なら可能かもしれないですが、70兆円増える社会保障の維持費と国債発行に否定的な人が多いのでとんでもない大増税を国民は受け入れるかどうかになってくると思います。
北欧諸国ですら社会保障削減をしていますからね。
日本維新の会が連立政権入りして、維新の政策をガチで実行したら
日本維新の会代表である松井一郎大阪市長は過去に維新が自民党との連立政権あるかもと発言しました。自公が弱ったときに自分たちの政策を実現させる条件で連立するでしょう。
日本維新の会は教育無償に関しては国債発行容認、給付付き税額控除やマイナンバーなどで低所得者へ最低給付しつつ、社会保障の削減をすると思っています。財源捻出は歳出削減や行政改革をし、ダメなら増税の形を採るでしょう。
アメとムチのアメは
- 教育無償化
- 妊婦や出産に関する手当
- 負の所得税導入(一律10%課税し、一世帯に月4万円支給)
- 給付付き控除(一人月1万円給付)
アメとムチのムチの部分
- 公務員給料平均2割カット(5兆円)
- 各種の規制緩和や民営化(5兆円?)
- 医療介護窓口負担一律3割と高額療養費を廃止(20兆円)
- 歳入庁設置(ムチ?)(5兆円?)
- 消費税20%(28兆円のうち15兆円は給付付き税額控除)
- 生活保護の厳格化などのその他社会保障の見直し(4兆円?)
- 薬価や診療報酬のメス(薬価はどうにかできないか)(6兆円?)
- 公共事業や補助金削減(20兆円?)
- マクロ経済スライド(自民より推進)(12兆円)
- 年金医療などの積立化(数兆円?)
- 道州制や市町村合併推進(数兆円?)
- 地方交付税交付金廃止し、穴埋め分は地方消費税増税
ムチの部分を多く取り上げましたが、社会保険料率の引き上げ阻止のための削減はすると思います。法人税減税などに動くと思うので、自民党より削減は多くなるのではないでしょうか?
個人的には年金の積立化は100年かかるうえに不公平感などを生む懸念はあるので反対ですが。積立年金は支払った分だけ運用などをして年金支給し、足りないなら年金国債発行や相続税などで賄うらしいです。
幸福実現党が与党になった場合
幸福実現党は維新よりも極小政府の立場をとるので、より社会保障削減はするでしょう。
アメとムチのアメは消費税5%だけでしょう。
なぜなら社会保障の存在そのものや教育無償化を社会主義的で経済低迷の元凶と言うような党で減税が最大の福祉とか言ってますからね。
ムチの部分は
- 医療介護予算の1/3は生活習慣病経費で自己責任の理由で保険適用外(30兆円)
- 年金4割カット(20兆円)
- 家族との繋がりや共助推進、米国式民間のノウハウ導入で適用外を増やす(10兆円)
- 生活保護などの社会保障カット(10兆円)
- 公共事業や公務員、天下り先などの削減(30 兆円)
- 規制撤廃
- カットしまくった分を法人税減税
わかりやすく言えば米国並みに社会保障削減はするでしょう。年金医療介護労働などの民間保険加入を推進するんじゃないですか?
社会保障廃止したら
社会保障撤廃論者を見ましたが、「年金など社会保障を廃止したアゼルバイジャンなどの国はそれで経済成長率はかなり伸びた」とか言っていました。
社会保障廃止すると3割の保険料は返ってきて、消費税廃止などで国民負担が45%から20%代になるでしょう。たしかに消費は増え、経済は伸びる可能性はあります。
経済成長は必要ですけど、それよりも国民の暮らしですからね。
しかしそれが格差拡大に繋がり、戦前の日本の状態になるでしょう。社会保障廃止派は家族との共助とか言ってますが、日本会議の思想や自己責任至上主義に繋がりそうです。
ただでさえ米国は医療破綻が多く、これらが原因で国民皆保険導入を主張するバーニー・サンダース候補が支持を集めていますからね。
戦前の日本は現代より格差は大きいし、基本的人権はあまりなく、貧困が深刻でしたからね。
社会保険料は現役世代だけ負担しているから消費税で老人にも負担させ、廃止すべきの声はあります。
今社会保険料を廃止して消費税で賄うと25%分です。年収200万円の人は平均25万円消費税負担は増えますが、社会保険料が使用者負担の分を含めてすべて手元に戻ってくれば60万円戻ってきます。(労働者分だけでも30万円)
失業者や低年金高齢者などの負担は増えるのでそこの対策は前提として必要なうえ、そうなると消費税が最低60%になるので、彼らに対してなんらかの逆進性の対策は必須になると思います。
まぁ、使用者が払った分を労働者に還元すれば消費税減税並みの効果はあるでしょう。